答志島架橋に関する一般質問

三重県議会

「平成22年6月」第1回定例会 6月14日 中村勝県議会議員


中村勝県議会議員
私は、昨年12月に一般質問に立たせていただきました。それは、10月20日に本会議で離島架橋の早期実現を求める請願が全会一致で採択されたことや、政権交代で「コンクリートから人へ」の民主党政権が誕生するなど、政治情勢の変化を受けて、念願の答志島架橋について知事の見解を伺ったものであります。
 この一般質問に、答志島から110人もの人々がはるばる県議会へやってきて傍聴いただきました。島民は、架橋について前向きな答弁があるだろうと、大きな期待があったわけであります。しかしながら、知事の答弁は、架橋には多大の費用がかかり、国の補助金に頼らざるを得ない、しかし、国は政権交代し、「コンクリートから人へ」を打ち出している。ハード事業に抑制がかかるかもしれないというもので、我々から見れば、まるで他人事のような答弁に聞こえました。皆さんがっかりして帰ったわけであります。
 私は、答志島架橋について、県として架橋をするべきか否かを問うたのでありまして、架橋すべきとした場合に、初めて国に対して手を挙げるということになるわけであります。したがって、国に対して手を挙げてから、国が「コンクリートから人へ」の民主党になったとか、あるいはハード事業に抑制がかかるとかいうことを言っていただくのが筋ではないかなというふうに思うわけであります。
 三重の離島は、少子・高齢化や人口減少が著しい。豊かな自然、水産資源、歴史や文化を持ちながら、これまで島に住む人々がどんどんいなくなり、伝統ある祭りやコミュニティーを維持できなくなると考える風潮に傾いてきました。何よりも、島々が鳥羽市や三重県の末端と化し、今の定期船が維持できなくなると、末端細胞のように壊死してしまう。そうならないように、鳥羽の島々の中で面積と人口が最大である答志島に橋をかけようという機運が高まってきています。橋をかけることで、伊勢湾漁業の最大拠点をさらに充実し、観光交流の一大拠点にしたい、そして、島の歴史、文化の発信拠点として、答志島を中心に鳥羽の島々の海上交通も循環をさせ、答志島だけでなく、環伊勢湾全体に恩恵を与える拠点になりたいという思いからであります。そこで知事にお尋ねします。
 全国での離島架橋は、人口が143万人の長崎県で24本かかっています。一方、人口が186万人の三重県が1本もかかっていません。なぜ1本もかかっていないのか、知事の見解をお願いしたいと思います。
 また、答志島架橋について、三重県民である答志島のほとんどの住民が架橋に対する署名をし、鳥羽市民、地元住民団体が架橋を熱望し、地元市議会が早期実現を求め、地元市長が積極的な発言をし、県議会が早期実現を求めているのに、知事だけがはっきりしないわけであります。主権在民の民主主義の社会で、なぜ県として架橋方針の意思を固められないのでしょうか。ぜひ固めていただける答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

野呂昭彦知事
 離島架橋の早期実現につきまして、昨年の10月に本議会で請願が採択をされたところでございまして、住民の方々の架橋にかける思いということについては、私も十分認識をしておるところでございます。また、島の産業、それから、住民生活のライフラインを支える役割、こういったものも大きいというふうに理解をしております。
 架橋につきまして、長崎県の例も挙げられましたけれども、全国的にいろんな整備を進めている県もございますけれど、地域によりまして、地理的な状況であるとか、あるいは過去からの経緯等、その状況は様々でございまして、一概に本県と比較するということは難しいのではないかなと、こう思っております。
 また、離島とか、離島以外の地域も含めまして、自然や文化、生活など、架橋が地域に与えます影響、こういったものについても十分検討していく必要がございますし、影響を受ける方々については、その理解を得ていく必要もございます。
 さらに、整備につきましては、県民の理解とあわせ、多大な費用が必要でございます。厳しい県財政の状況の中にありましては、国の支援に頼らざるを得ない状況にございます。一方で、御承知のとおり、公共事業予算は年々削減をされてきておるところでございますから、今後の動向というものを十分見きわめていく必要があるのかなと思っております。
 しかし、こういう中で、昨年11月に、県と鳥羽市、志摩市で構成をします離島振興担当課長会議を設置したところでございまして、この中で、全国的な事例も踏まえながら、離島架橋をはじめとする離島振興に関するいろんな課題について検討もしておるところでございます。
 今後も、国の動向や他県の事例などにつきまして、情報収集いたしてまいりますとともに、関係する両市と連携し、取組方法等について幅広く検討していきたいと、こう思っております。中村議員の思いについては、重ねてしっかり受けとめておきたいと思います。

中村勝県議会議員
 12月と全く変わらない答弁をいただきました。今、いろんな意味で財政難の中で、これからどうやってそれをやりくりしていくかという知事の責任があるというふうに思うんですけれども、例えば、今日、知事が、「答志島架橋について決断を今日しましょう」とこう言われたとしても、橋がかかるまでに、それから国との折衝が始まって、国で採択をいただいてから、それまでに、国で採択をいただくまでに何年かかるのかということですね。そして、着工をして、それから、着工をしてから10年、早くともかかるというふうに言われておるわけです。ですので、いつまでも同じところで足踏みをしておると、いつまでたっても橋がかからない。知事が決断していただければ、10年先まで知事をしておることはないと思いますけれども、それに道筋をつけていただいた知事として、我々は本当にありがたく思うわけでありますけれども、将来に希望を持って生きられるという、この国の形、この国のあり方でありますけれども、将来に希望を持って生きられる、やっぱりそれは離島の島の人たちにとっても同じ思いだというふうに思うんです。たとえ県が決断をいただいたとしても、10年あるいは20年かかるという前提のもとでお願いをしておるわけでありますので、ぜひもう一言、知事の前向きな答弁をいただきたいと思います。

野呂昭彦知事
 したがって、最後に申し上げましたように、中村議員並びに地元の皆さんの思いということはしっかり受けとめておきたいと思います。
 今、離島振興担当課長会議のほうでいろいろ議論をやっておるところでありますから、病院でも可能性調査というのをやりましたけれども、やはり事業を進める際には、そういったところも含めていろんな議論をしっかりやっておいていただくということが大事ではないのかなと、こう思っておるところであります。

中村勝県議会議員
 何かをやる場合に、やっぱり筋道をつけて、手続を踏んでという今知事の答弁だったというふうに思います。担当課長会議を立ち上げていただきました。それを早速いろいろ議論をいただいておりますので、取りまとめた上で、再度知事にその決断をいただく日が近いうちに私は来るだろうと、こんなふうに思っておりますけれども、私もいつまでも待てないんです。ぜひそのことを決断いただいて、前へ進めていただきますようにお願いをいたしまして、ちょっと時間が余りましたけれども、私からの一般質問にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。
 

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答志島架橋建設促進協議会