答志島架橋に関する一般質問

三重県議会

・「平成16年第2回)」6月定例会   木田久主一議員    


◎木田県議会議員
 昨年、離島振興法が10年間延長されました。新しい離島振興計画は、これまでと違い、住民あるいは市町村が練り、それを県や国に上げるという、これまでの逆の方向でつくられたというところが特徴であります。その新しい離島振興計画では離島架橋が明記されました。離島架橋は、他の県におきましてはかなり進んでおりますが、我が県においては六つの有人離島を有している中で、いまだ一つも実現されておりません。光の当たらないところへ光を当てるのが政治本来の姿であるとよく言われますが、その点、我が県は他県に比べ劣っていると言わざるを得ないのでしょうか。
 架橋によるデメリットもあります。例えば、助け合いとかコミュニティー活動が低下する、また、犯罪の発生率が増加する、こういうことがあります。しかし、メリットは、人の命を救助するというような重要なものを含め、数多くあります。
 例えて言いますと、1、重症あるいは救急患者を病院へ運びやすくなり、大きな安心感を得られるということがあります。鹿児島県の長島におきましては、今まで手遅れの場合がありましたが、対応が早くなって長生きができるようになったと喜ばれております。
 2番目に、本土と連携した広域防災体制が確立でき、消防車の出動が24時間可能となります。淡路島におきましては、阪神・淡路大震災時におきまして、大鳴門橋が島民の生命線となりました。
 3番目に、廃棄物の本土との共同処理が容易となります。佐賀県の加部島におきましては、橋を使ったバキュームカーやごみ収集車の搬入、搬出が可能になったと喜ばれております。
 4番目に、介護サービスが充実します。
 5番目、通勤通学の利便性が向上し、教育、文化、消費など都市的サービスを享受でき、若者の定住や嫁不足問題の解消が期待できます。山口県の屋代島におきましては、通勤通学に悪天候による欠航の心配がなくなり、島外市町への通勤者、通学者が増加をしたと言われております。また、長崎県の生月島におきましては、島外へ通勤する女性が激増し、若い女性を中心に島外流出を抑制する効果が大きかったと言われております。
 6番目に、漁業関連機能の向上が図れます。石川県能登島におきましては、鮮度の高い海産物が出荷できるようになったと漁民が喜んでおります。
 7番目に、観光客の増加が期待できます。
 数え上げればまだまだ多くあると思います。人口が減少していく中で、費用対効果だけで物事が決められれば、なかなか離島架橋は困難と言わざるを得ません。しかし、人の命は地球より重いという言葉もある中で、離島架橋は政治の良識として本気で取り組む問題であろうと考えますが、知事さん、いかがでしょうか。
 次に、以前からたびたび問題になっておりますごみの漂着についてお尋ねいたします。
 この問題は、離島だけでなく、鈴鹿、津海岸、それに愛知県の海岸でも発生していることはよく認識をしております。しかし、離島ではより深刻なんです。地図をよく見ていただくとわかるとおり、木曽三川を中心とする多くの河川より伊勢湾に流れ込んだごみは、当然時間を経て湾口から太平洋へ出ていくわけですが、出る直前、まるでフィルターのごとく、離島の島々がこのごみを集めてしまいます。
 港を埋めつくすごみは、処理をしなければ定期船も入っていけませんし、漁に出ることもできません。離島の住民は、いや応なしにその漂着ごみを集めて処理をしなければなりません。高齢化の問題が、この作業をますますつらいものにしています。荒れ果てた山林からのごみ、ぽい捨てされたペットボトルなど、流れ出た側は知らん顔ですが、流れ着いた側では、このごみは何々県から、このごみはどこどこ市からなどと、そのごみの中に住所がありますので、証拠の住所を見つけては、つぶやきながら処理をしているというのが現状でございます。
 漂着ごみがノリ網などにくっついてしまうと、もうそのノリは全滅状態になります。スクリューが流木のために壊れてしまうこともあります。これら一連のことをその地に住む人々の身になって考えるとき、真剣にその対処について考えるべきだという気持ちにはなりませんか。
 雨量を調節することは不可能であります。ごみを流さないことも不可能に近いと思います。それでは、海上で処理をする回収船を建造する、あるいは住民、漁民が集めてきたごみをまとめて回収するクレーン船を用意する、ごみ処理に要した費用、そういうふうなものに対して手当てをする、これらのことは可能なことではないでしょうか。こういう施策を実行することが離島振興に結びつくことであると考えますが、いかがでしょうか。
 以上、お願いします。
   〔知事 野呂 昭彦君登壇〕

◎知事(野呂昭彦君)
 ごみゼロ社会の実現についてでございますけれども、これにつきましては、県民一人一人の意識とか、あるいは価値観、ライフスタイル、また、生産や流通など、経済活動のあり方まで踏み込まなければならない、そういう必要があることから、県民、事業者、行政が一体となって取り組むことが重要でございます。今年度は、こうした各主体が様々な形で参加をし、プランを策定することで協働の素地をつくっていきたい、このように考えておるところでございます。
 ごみゼロ社会の実現は、県の取組だけでなく、県民一人一人に意識を持っていただきながら、市町村と連携して進めていくことが重要でございますので、プランの策定に当たりましては、県民、事業者、市町村、県議会など広く意見を聞きながら、プラン策定委員会の場で議論をしていきたいと考えております。
 また、プランをより実効性のあるものとするために、日ごろからごみ減量化に取り組んでおります方々や学識経験者等の参加を得まして、アドバイザー会議を設置いたしまして、専門的、技術的視点からも検討を進めてまいりたいと思います。まずはプランを策定し、モデル事業を実施する中でどのような施策が有効か検討していきたいと考えておるところでございます。
 ごみゼロに対します意識のレベルアップにつきましては、県民一人一人の意識や価値観、ライフスタイルまで踏み込む必要がありますことから、ごみゼロワークショップを開催いたしまして、県民自ら考え、学ぶ機会を提供するなど、ごみゼロ社会の実現に向けた機運醸成を図ってまいりたいと考えております。
 当初から申し上げておりますように、ごみゼロ社会の実現には20年ほどかかるのではないか。一朝一夕にできるものではございません。気長な取組が必要でございます。しかし、とにかく始めなければ、いつまでたっても実現できるものではない。それから、これは県だけではなくて、もちろん市町村、県民の皆さん一緒ですが、これ以外にも国全体で取り組んでいくまた必要もありますから、国へも要望を、今もとっておりますけれども、今後も要請をしていきたいと思っております。
 また、先般も、近畿圏の知事会やKC、そういったところでも、ごみゼロ社会の実現に三重が取り組んでおるというようなことを申し上げ、一緒になって連携して取り組めるように意見をしておるところでございます。
 先般、KCの会におきましては、KCというのは関西サミットでございますが、関西の経営者協会の代表の方も、こういった非常に高いレベルの目標でみんな連携していくということがあればいいなと、こういうふうな御発言もございまして、こういったことを進めていく機運が醸成されつつあるのではないかな、このように考えておるところでございます。
 それから、離島問題については、後ほど担当の方からお答えをいたしますけれども、莫大な費用を要するというようなことから、なかなか今の時点で実現性は困難なものかなと、こう思っておりますが、いろんな必要性とか方策などについて、今後十分幅広く検討していくということが必要だと思っております。

◎県土整備部長(長谷川寛君)
 それでは、離島振興の離島架橋について、知事の補足をさせていただきます。
 この架橋につきましては、現在、新道路整備戦略に策定されておりますけれども位置づけがないという状況にはございます。仮に道路としての離島架橋の可能性を考えた場合、この道路としての位置づけがないことや、知事が答弁しましたように莫大な経費がかかるということで、かなり負担の確率が、高い。

◎県土整備部長(長谷川寛君)
 (続き)しかしながら、離島架橋の必要性の要望が地元からありますから、地域振興部を初めとして関係部局で地元の皆さんと今後検討してまいりたいというふうに思っております。
 それから、漂着ごみにつきましての船舶でございますが、国土交通省、四日市港管理組合等の保有している既存の清掃船の活用ができないかという観点が1点と、それから、今後この建造が可能かどうかということについて調査検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
 以上です。

 

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答志島架橋建設促進協議会